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●立山周辺山スキー日記(1998.4.30〜5.3)

<4月30日>

21:30福山発、装備重量は約15kg
メンバー:単独
スキー:フットカーブ(長さ65cmのファンスキー)
ブーツ:山スキー用で靴底がビブラムソールになっているノルディカTR-9
ウエア:ゴアテックスのヤッケ、オーバーパンツ、フリース、タイツ、ダクロンのシャツ、ニットの帽子、手袋×2
その他:ピッケル、12本爪アイゼン、3段伸縮ストック×2、コンロ、コッヘル、携行食、高度計付き時計、サングラス、日焼け止 め、スニーカー、水筒、防水カメラ、地図
23:30新大阪駅発「急行きたぐに」乗車
ホームにて単独で剣岳(2998m)登頂後、早月尾根下降というコースを予定している山男さんと出会った。四国・新居浜の方で、富山県警の山岳救助隊のお世話にならないよう、無事を祈るばかりだ。

<5月1日>

4:40富山駅着、駅の待合には大学山岳部らしき若者から中高年の山男、山女で一杯である。中には片隅でシュラフに包まって一夜を越した人もいた。
5:40富山電鉄に乗車
6:40立山駅着、ダッシュで美女平行きのケーブルカー乗り場に行くが、1時間待ちとなった。それでもダッシュをしたおかげで、その他の人より約30分早く乗車できた。
8:20室堂行き高原バスに乗車、道路の両脇はバスの背丈ほどの雪の壁が続いた。有名な「雪の大谷」は確かに壁の高さが15m近くあったが、その区間はほんの100m程度であった。

9:20室堂バスターミナル着、観光客、スキー客、登山客が入り乱れすごい人ごみであった。
9:40室堂(2450m)発、天気は快晴! 一ノ越を目指して快調に登る。途中にスニーカー履きの観光客のおばさんや、普通のスキーブーツのスキーヤーがおっかなびっくり登っており、滑落しなければよいがと余計な心配をする。
10:40一ノ越(2700m)着、これから私と同様に御山谷を滑降しようという人や、雄山(3003m)に登る人達でにぎわっている。
御山谷は標高1400mの黒部ダムまで続く日本最大級のカールで、その滑降標高差はじつに1300mである。

11:00滑降開始、巨大なボウルを独り占めです。無人の国立競技場のグランドに一人で立っているような感じと言えばわかるでしょうか?雪質はアイスバーンが緩み始め、ザラメ雪の表面に薄氷が張ったような状態で、板も埋まらずエッジも良く効き快調! 一気に滑るともったいないのでしばしば休憩を入れるが、立ち止まった瞬間から風の音のみの静寂の世界となり、時が止まったような錯覚すら覚える。

12:00黒部湖畔着、約一時間歩いてダムの地下にあるケーブルカー乗り場に行き、ロープウェー、トロリーバスと乗り継いで室堂に14:30頃に帰りついた。途中、ロープウェーの車窓から見た「タンボ平」がまたすばらしく、帰るまでにここを滑ろうと心に決めた。

<5月2日>

6:50雷鳥荘を出発、今日も快晴!
7:00雷鳥平(2250m)から別山乗越(2750m)を目指して登り始める。雪は固く締まり、アイゼンがいい感じで効いてくれる。

30度前後の斜度なので、スキーヤーもすべり止めのシールが使えず板を担ぎあえぎながら登っているが、私は軽量なフットカーブのおかげで快調に登る。
9:00別山乗越着、当初の予定はこの先の剣沢を滑る予定が、まだ時間も早く雪がアイスバーンだったので、暇つぶしに右手になだらかに続く別山(2874m)に登ることにした。
すんなり頂上に立ち、雄大な剣岳を見ながら休憩しているとスキーヤーが何人か登って来た。聞いてみると、真砂沢を滑降するとの事。しかもその中にトタン板をぶった切って自作したのではないかと思われるような板を持っている人がいる。それはフィーゲルスキーという代物で、シナノというメーカー(現在は製造中止)の幅約15cm、長さ約60cmのジュラルミン製のとっても武骨な板であった。雪洞掘りにも使えるし、焼肉だってできる(冗談)とオーナーはご満悦。いろいろ話しを聞いていると自分も真砂沢を滑りたくなってきた。しかし真砂沢を下ってしまうと前日のようにケーブルカーで帰るわけにもいかず、長大な剣沢を登り返さなくてはいけない。

深呼吸を2、3度繰り返し、え〜い、ままよ!と、10:00に別山頂上直下より滑降を開始する。出だしの斜度は40度前後もあり、雪もクラスト(硬化)しており、ターンするごとに削れた氷が足元からサーッと何百メートルも流れ落ちて行く。絶対に転倒できないプレッシャーがかかるが、なんとか出だしの急斜面を乗り切った。滑降前に「そんな短い板でエッジがかかるの?」と心配してくれていた長板の人から「その短さで抜群の安定感だね〜」と誉めてもらい、ちょっと自信がつく。後は前日の御山谷を上回る広大な谷を心行くまで滑った。(滑降標高差1100m)

11:00真砂沢出合(1750m)出発。さあここから別山乗越(2750m)まで標高差1000mの登り返しである。雪はザクザクで、つぼ足の私は数え切れないほど足を取られ、長い長い長〜い剣沢を登りきるのになんと4時間かかった。このときはさすがにシールを貼った長いスキーがうらやましかった。
15:00別山乗越着、後は雷鳥平に向けて標高差500mを滑降するだけであるが、天気は下り坂で雪質も悪く、いまひとつ。へとへとになって雷鳥荘に帰り着いた。

<5月3日>
7:00雷鳥荘発、天気は曇りで5月というのに昨夜のうちに降雪が1cmあった。
初日に行った一ノ越を目指す。さすがに前日のトータル1600mの登りがこたえ、足がガクガクする。最終日の今日は初日にロープウェーから見た御山谷の隣の谷、タンボ平でフィナーレを飾ることとした。

8:30一ノ越着、タンボ平の滑降開始地点の東一ノ越を目指し、御山谷をトラバース(水平横断)する。アイゼンを効かして順調にトラバースしてきたが、だんだん高度感がでてきて、足元から数百メートルも雪渓が続く個所を横切るときは、さすがに小便をちびりそうになる。

ピッケルは持っていても滑落停止の練習は不十分で、いざというときに使えるかはなはだ疑問である。

途中、雷鳥に出会ったりして、なんとか東一ノ越らしきところにたどりついた。(実際は少し間違えていた)

10:00、2700m地点よりタンボ平に向けて滑降開始。しかし雪崩によるデブリ(雪のブロック)が谷を埋めており、朝の冷え込みが弱かったせいか雪質も悪く、フットカーブではまともに滑れない。なんとかザラメ雪を掻き分け、11:30に黒部平駅(1850m)にたどり着いた。多くの観光客が広大なタンボ平を眺めて、感嘆の声を上げているのを聞きながら、「自分はそこを滑って降りてきたのだ。」という自己満足を大いに感じることができた。

さて、ここから帰路に着くわけだが、ゴールデンウイークの中日のため、観光客で大変な人ごみである。

ロープウェーの待ち時間がなんと2時間!窓口のおじさんに、こんな時自分がかわいい女の子だったらと思いつつ頼み込んで、内緒で早い番号の整理券をもらうことができた。(それでも1時間待ち)それから室堂を経由して、美女平に14:00到着、しかし最後のケーブルカーが1時間半待ち!なんとか立山発の大阪行きの特急サンダーバード号に乗れ、富山から隣の席に乗ってこられた画家さんと旅の話で盛り上がり、23:00に無事福山に帰りつくことができた。

スキー場では味わえない「山スキー」のすばらしい魅力は、体力・装備・技術のすべてが必要ですが、機会があれば一度チャレンジされてはいかがでしょうか?

→シーカヤックツアー『知床エクスペディション』に参加して

→南米・ボリビア世界最高所のスキー場を滑る

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