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石鎚家族登山

毎年夏の恒例の家族登山、1982年は1982mの石鎚山に登ることになりましたが、波乱万丈の山行となりました。
(大田祐介)

<石鎚山系縦走>

伊予の秀麗・石鎚山は、西之川からロープウェイを利用して登る一般登山道と、土小屋から登る以外の道は登山者も少なく、ほとんど整備されていない。
私達家族5人は、その中でも一番体力のいる保井野から堂ヶ森、二ノ森、西ノ冠岳を経て石鎚山を越え、岩黒山、伊吹山、瓶ヶ森、伊予富士、寒風山、笹ヶ峰と、石鎚山系1500m以上の山約20座の全山縦走を試みた。
8月13日午前7時に自宅を出て、三原から高速艇で今治へ渡り、更にタクシーで石鎚山系の一番端にある堂ヶ森登山口の保井野に午前11時着。放牧場のそばの林道を急登し、途中の水場で冷たい清水を腹一杯飲んで、水筒も満たし、13時20分堂ヶ森山頂着。霧雨とガスの中で昼食のおにぎりを食べる。この世でこんなにおいしい物があるのかと思うほどで、あっと言う間に皆食べてしまった。熊笹の中の細々とした踏み跡を上ったり下ったりを繰り返し、16時石鎚山頂着。相変わらずファスがかかって展望は無いが、あめ湯を飲んで一息いく。土小屋白石ロッジに17時50分着、ヤマメの塩焼き山菜料理にビールで乾杯。
8月14日は瓶ヶ森までの約6時間の予定のため、朝食をゆっくりすませて7時出発。途中子持権現の約50m余の鎖場を登る。皆のピッチが良いので10時50分瓶ヶ森着。昼食をすませて瓶ヶ森で1泊するか、今日の内に全縦走するか話し合いの結果、途中に水場は無くても全山縦走することに決定。11時30分瓶ヶ森頂上発。熊笹の中の細い踏み跡を伊予富士に向かって出発。14時伊予富士頂上着。皆大分疲れを見せ始める。主人は独り林道を歩くと言って下りて行ったが、いつの間にか見えなくなる。桑瀬峠で寒風山より下って来た5〜6人のパーティーに会う。「お父さん」と大声で林道に向かって呼んでも返ってくるのはこだまばかり。母子4人は、黙々と寒風山の急な道を岩につかまったり、木にすがったりして登る。水筒はほとんど空になり、ジュースと果物が残るのみとなった。16時寒風山頂上着。地図のコースタイムの約半分の時間で歩いたことになる。再び急な下りを通り笹ヶ峰へ登る。子等は、笹原の細々と曲がりくねった穴だらけの踏み跡をころびころびついて来る。ガスがかかって真っ白の中を17時25分やっと笹ヶ峰到着。皆大の字になって「アーッ」と言ったままのびてしまう。最後のレモンを切り、最後のジュースを1口ずつ何回も回し飲みした後、約30分下って今日の宿の丸山荘に着く。主人はまだ着いておらず、途中で引き返したのか、コースを変更したのかと心当たりを電話していると、下津池の方から笹ヶ峰へ登っているので、約1時間半位で丸山荘に着く予定との電話が入り、皆ほっとする。西の空が夕焼けで真っ赤に染まり、山の一日が終わる頃、木々の間からヒョッコリと日に焼けた顔がのぞいた時、皆門前まで走って下りて無事を祝いビールで乾杯し、今日1日の山行をあれこれ話しながら1枚敷きの大ぶとんと、大きな1枚の掛けぶとんの中に5人並んで寝、大学生でも中々1日ではこなせないという石鎚山系35kmの強行軍の山行を終えた。

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寒風山の道なき道を這い登り
頂上に子等大の字に寝る

林道を独り行きつつ探す夫
残照の中に不意に顔みす

夫も子も綿のごとくに眠りいる
石鎚山系踏破せる夜

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夫を呼ぶ声いたずらにこだまして
石鎚山に独りとなれり

かわきたる喉より出ずる声かすれ
夫呼ぶ声もとどかずなりぬ

缶ジュース一口ずつ廻し飲み
生気はかえる笹ヶ峰の頂

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林道を独り行きつつ探す夫
残照の中に不意に顔みす

木の間より出でたる夫と吾を染め
今西空は真紅に燃ゆる

助け合いわかち合いたる山行きを
子等よ思い出に鮮やかにあれ

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山系を親子五人落伍なく
踏破の夜のビールのうまさ

靴ずれの足引きずりて歩みいし
夫がことさら平気をよそおう

山小屋の一枚のふとんに親子五人
並びいねつつつたうぬくもり

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大学生も無理と言われし行程を
踏破し子等もすがすがと立つ

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